🍉しいたげられたしいたけ

NO WAR! 戦争反対!Ceasefire Now! 一刻も早い停戦を!

謎解き日本のヒーロー・中国のヒーロー(その3)

nifty時代の過去記事を無計画に貼り始めたんで、「日本のヒーロー」一人一回分の駄文(本人はエッセイのつもり)に足りなくなってしまいました。今更ながら過去記事は一つずつ貼ることにします。

01860/01862 CXX02375 わっと 日本のヒーローの条件その5・悲恋
( 3) 98/03/06 00:10

(神話)日本武尊…妃・オトタチバナは、波を沈めるために荒れる海に身
         を投げました。
(鎌倉)源 義経…都の白拍子・静御前とは、奥州への逃避行の際生き別
         れになりました。
(室町)犬塚信乃…許婚者・浜路は、浪人・網干左母二郎に殺されまし
         た。
(戦国)豊臣秀吉…信長の妹・お市の方への思慕は、生涯報いられること
         はありませんでした。その娘・淀殿への溺愛は、豊臣
         家を滅ぼす原因になります。
(幕末)坂本龍馬…妻・おりょう始め、想いを寄せた女性は仕合わせには
         なっていません。
(幕末)沖田総司…えっと、ぢつは詳しいことは知りません(^^;
(明治)坊ちゃん…この人も恋人は登場しないなぁ。ちょっと筋違いだけ
         どマドンナは明らかに作者・漱石に好意的な扱いを受
         けていません。
(昭和)星飛雄馬…名前忘れちゃったけど、二人恋人候補が登場します。
         一人目の看護婦さんは病死し、あとの不良少女は、ラ
         ストでライバル左門豊作と結婚します。

98/03/05(木) わっと(CXX02375)

星飛雄馬の恋人候補で看護師さん方の名前は日高美奈、不良少女のほうは苗字が不明で名前が京子でした。これ書いたときは、まだネットで検索というのが手軽じゃなかったかな? でも八犬伝の網干左母二郎は漢字を間違えずに書いているけど、どうやって調べたんだろう?

スポンサーリンク

 

 

新選組三羽ガラスのうち沖田総司を選んだのは、もちろん条件に合わせるためのご都合主義でもあるのですが、私の世代ではテレビドラマ『新選組始末記』で当時大人気だった俳優・草刈正雄が演じたり、あと同時期の人気マンガ『マカロニほうれん荘』の主人公の名前が何の脈略もなく「沖田そうじ」だったりして、新選組といえば沖田みたいなイメージがあったからです。

 私事を言えば、最初に新選組のことを知ったのが、「少年マガジン」に連載されたみなもと太郎のマンガ『冗談新選組』であり、やや長じてこのマンガが司馬遼太郎の小説『燃えよ剣』を踏まえたものであることを知ってさっそく手にとったりしたこともあって、両作品の主人公である土方歳三に、一番感情移入したりしていました。実際、三人衆の中では、最後まで戦線離脱せず函館五稜郭の戦いに果てた土方の視点が、新選組の通史を俯瞰するには一番都合がいいかなと思わないでもないです。

冗談新選組

冗談新選組

 

ただし、わりと言われることですが歴史の知識を司馬遼太郎だけに頼るのは、偏りも明白な間違いも多くて危険です。『燃えよ剣』の他に『新選組血風録 (角川文庫)』も読んだりしましたが、沖田絶命時の有名な黒猫のエピソードなどはどこにも登場せず、大河ドラマに三谷幸喜作の『新選組!』が登場する頃になって、ようやく子母沢寛のいわゆる「新選組三部作」が、新選組物の事実上のスタンダードになっていることを知った始末です。

追記:

すみません、記憶違いでした。黒猫のエピソードは『燃えよ剣』下巻にありました。

 沖田総司は、それから一月あまりたった慶応四年五月一二十日、看取られるひともなくこの納屋のなかで、死んだ。
 死は、突如きたらしい。縁側に這い出ていた。
 そのまま、突つぶせていた。菊一文字の佩刀を抱いていた。
 沖田林太郎家につたわっている伝説では、いつも庭に来る黒い猫を斬ろうとしたのだという。
 斬れずに、死んだ。

司馬遼太郎『燃えよ剣(下)』(新潮文庫) P300

追記おわり

 

念のために「新選組三部作」というのは『新選組始末記―新選組三部作 (中公文庫)』『新選組三部作 新選組遺聞 (中公文庫)』『新選組物語―新選組三部作 (中公文庫)』です。ただしこれらの作品は、文中に史料が原文のままかなりの引用されるなど、決して読みやすいものではなかったです。時間さえかければ史学科でも国文科でもない人間にも、読めないことはなかったのですが。

で、子母澤のものを読んでみると、沖田が特別とか、土方が特別とか、そういったことはないんですね。土方に関していえば「播磨からの飛脚はまだ来ませんか」という悲痛なセリフで知られる勘定方・河合耆三郎のエピソードなど、『燃えよ剣』の颯爽たる戦士像からは想像もつかない権力側の実にイヤな奴という人物像が立ち上がったりします。

三谷幸喜はどこかで「大河ドラマ『新選組!』の主人公は近藤勇です」という意味のことを語っていたと記憶しています。しかし実際は、三谷お得意の群像劇に仕上がっていたように思います。浅田次郎の『壬生義士伝』は子母澤三部作では1章分にすぎない吉村貫一郎のエピソードを膨らませたものです。明治まで生き残った斎藤一は『るろうに剣心』にも登場します。『冗談新選組』よりはるか下って「マガジン」に連載された『ばくだん~幕末男子~』では、誰がメインで扱われていましたっけ? 三人衆に限定する必要など何もなく、誰に感情移入するのも思いのままというのが、後世の読者の特権と言えるのかも知れません。

今の若い人は、新選組といえば誰を最初に思い浮かべるのでしょうか? 

燃えよ剣 全2巻 完結セット (新潮文庫)

燃えよ剣 全2巻 完結セット (新潮文庫)

 
新選組始末記―新選組三部作 (中公文庫)

新選組始末記―新選組三部作 (中公文庫)